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白馬連山(しろうまれんざん)
高山植物帯



所在地:長野県北安曇郡白馬(はくば)村、新潟県糸魚川市、富山県下新川郡朝日町・宇奈月町
指定の経緯:
 大正11年(1922) 10月12日天然記念物指定、昭和27年(1952) 3月29日特別天然記念物指定(基準:植物(3)、代表的高山植物帯・特殊岩石地植物群落)


白馬連山高山植物帯(大雪渓付近)
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 本州中央部の標高3,000m級の高山が連なっているところが指定地域。白馬岳(しろうまだけ)(標高2,932m)を中心として、南北に細長い30数kmもの山系の東側に広がる124 km2。国有林。

 南の岩小屋沢岳周辺を起点として、稜線沿いに爺ヶ岳・鹿島槍(やり)ヶ岳・唐松岳・鑓(やり)ヶ岳・杓子(しゃくし)岳・白馬岳へと続き、さらに新潟・富山県境沿いに雪倉岳・朝日岳・犬ヶ岳周辺に至る。 また、白馬岳から小蓮華山・乗鞍岳周辺にも延びている。

 きびしい風雪にさらされる山岳の地形が変化に富んでいるうえ、特殊な超塩基性の蛇紋岩地帯もあるため、400種にも及ぶ高山植物の宝庫となっている。

 これらの高山植物は、北半球の北の果てに分布している植物と大きな関連性がある。寒冷な氷河時代に北極周辺の植物が南方に生育地域を広げていたが、 気候が温暖化して南方では高山帯だけに残ったとされる。

 ムカゴトラノオ・ウラジロキンバイ・タカネシオガマ・ミネズオウなどは北極周辺に広く分布。ジムカデ・イワイチョウ・アオノツガザクラ・チングルマなどはここから北の方へ千島列島を経てアラスカ・カナダ西岸まで分布。

 一方、山稜地帯で見られるコマクサ・ウルップソウ・タカネシオガマ・オヤマノエンドウ・タイツリオウギなどが黒部峡谷を隔てた立山連峰に見られないのは、 植物分布上の大きな謎とされている。

 7〜8月にはシラネアオイ・シナノキンバイ・キヌガサソウなどが色とりどりに咲き競い、白馬岳と杓子岳の間の東面、白馬尻(1,560m)から上へ長さ3.5km・最大幅100m・標高差600mもある大雪渓の周辺やその上方に、 雲上の花園が出現する。栂池(つがいけ)高原からの遠望もすばらしい。

 9月下旬から10月上旬、岩肌を紅葉が彩る。


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