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温州(うんしゅう)みかん



 温州といういかめしい名前から、その原産地は中国逝江省の温州府と思われがちだが、れっきとした鹿児島県長島で発生したものである。中国から遣唐使によりもたらされたかんきつ類の種子が偶然に発芽したもので、400から500年昔のことと推察されている。それ故、英語ではサツマオレンジという。

 昭和37年秋、私は長島の土を踏み、最古木のある山崎 司氏邸を訪問した。最古木は昭和23年に枯死し、2代目の40〜50年生の樹があり、原木は枝張り13m、高さ6m根の周り1.7m、収量750kgもあったと記されていた。平成10年3月に再び訪れたときはこの2代目も昭和42年の干ばつで枯死しており、3代目の木が植えられていた。長島では、当初は季夫人と呼ばれていたようだが、これは絶世の美人という意味であったようだ。まさに最高品という意味であろう。

 このように温州みかんは品質が良いのに、小さい種子のある紀州みかんが普通に植えられており、明治以降まで栽培されなかったのは、有吉佐和子の小説「有田川」にもあるように、種子なしは家が続かないとして忌み嫌われたことによる。しかし、明治に入りそのような迷信よりも、品質と食べ易さを優先されて大いに植えられるようになった。昭和46年まで、水田をみかんに、そして落葉果樹からみかんへの転換を迎えることになる。そして山林も開墾され果樹農業拡大、量産化時代を迎えることになる。

 この温州みかんも昭和47年に300万tを越えるまでに生産量が伸びたが、現在では150万tを切るまでに減少している。これはジュース、菓子類に加えて冬のライバル、例えばメロン、イチゴ等が増えたことにもよる。
 それらに加えて、輸入果実の増大等の理由により、生産調整、品質競争時代をむかえ、味一、完熟などのブランドが発達して来ている。

 一方、ハウスみかんは露地みかんが無くなる4月頃から、極早生種が出始める9月頃まであって、このハウスみかんのおかげで年中みかんが食べられるようになった。ハウスみかんは、早生温州みかんをビニールハウスで育てて開花の時期を早めたもので、雨も遮断できるため成熟期を乾燥状態に維持でき、糖度が高い(11度以上)、美味しいみかんが生産できる。もちろんコストは露地みかんより高いが、年々確実に生産量も増えてきた。消費者にとっては、同じみかんであっても違う果物という感覚で食べることができる。ハウスみかんは、中の袋の皮(じょうのう)がとても薄いので、袋ごと食べられる。みかんに含まれる栄養素を丸ごと摂取できるところが良い。

 また菓子その他に対抗するためには、かんきつの機能性のPRが必要で、従来のビタミンC、ペクチンやクエン酸等に加えて1998年には温州みかんにはガン抑制物質が多く含まれるというニュースが発表され、温州みかんが再び脚光を浴びることになる。その含有量は輸入オレンジの100倍にもなるという。その正体はベータ・クリプトキサンチンで、みかんを1日2〜3個食べることにより、ガンの予防効果が期待できるとのことで、みかん党にとっては大きな福音となっている。


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林温州 青島温州



向山温州 田口早生



宮川早生 興津早生




ゆら早生 日南一号




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